
日傘は元々【女性が使うもの】という定番イメージがあり、やはり何となく男性は近寄りがたいものなのでしょうか?
これまで私柴田民緒に日傘のオーダーをしてくださったお客様は、90数パーセントが女性のお客様でした。
(Casa de Paraguasというブランドで、日傘のオーダーメイドやリメイク作品の制作販売等を行っております。)
けれども、男性のお客様もゼロではありません。
今日のブログでは、私が日傘制作を開始した頃からの私と「日傘男子(=日傘を愛用する男性)」との関わりについて、少しご紹介していきたいと思います。
【2種類の男性のお客様について】
男性のお客様は、その使用用途から主に2種類に大別できます。
(1) お母様や奥様、お世話になった方など、女性へのプレゼントにオーダーされる
(2) ご自身(男性)で使うためにオーダーされる
(1)のケースは、正確には日傘男子ではありませんが、プレゼントをする際でも、自分が普段使わない日傘を注文するというのは、結構ハ ードルが高いのではないかと思います。
「一体女性がどんな日傘を好むのか、見当もつかない」ということで、生地選びからご相談に乗るケースが今まで多かったです。
(2)のケースは、正真正銘の日傘男子ですね!
初めて(2)のケースでご注文をいただいた時は、最初はお客様の性別が分からなかったものの、何度かメールでやり取りをするうちに、お客様が男性であることがわかりました。
【初・日傘男子のお客様からの温かいご感想に感激!】
オーダーのきっかけは、「泥大島の洗い張り後の反物がありますが、日傘にできますか?」というお問い合わせから。
お話をよくよくお伺いすると、亡くなったお父様のお着物1枚をリメイクして、デザインはお任せで、2本の日傘を作ってほしいのこと。
しかも、そのうちの1本はご自身で使用されるとのこと。
着物1枚から、竹製、ラワン木製2種類の持ち手で、1本ずつ計2本。
ラワン木製の方がひと回り大きく、男性でもお使い頂けるように、ボタンのデザインもシンプルで、ユニセックス(男女両用)な柄を選びました。
「とても素敵な仕上がりで、また、着物の風合いが活かされ、嬉しい限りでございます。有難うございます。実家の母も大変喜んでおりまして、私と母でそれぞれ1本ずつ愛用致します。また機会がございましたら、是非とも宜しくお願い申し上げます。」
と納品後、改めてとてもご丁寧なご感想を頂き、作り手として本当にうれしいご縁を頂きました。

男性ものの着物が、男女兼用でお使い頂ける日傘に。
「着物」のままでは使えなくても、「日傘」と言う形だったら、故人の思い出に寄り添いながら、老若男女どなたでも日常づかいをすることができる。
もしかすると私は、単に日傘という「物」を作っているのではなく、リメイクした日傘を介して、心と心を繋いでいく「機会」そのものをご提供しているのかもしれない。
お客様からそんな大切な気づきを頂き、改めて日傘をお作りする今のお仕事について、自分の存在意義あるいは使命感のようなものを感じました。
【着物と男性用日傘の意外なマッチング!?】
私が「男性にもぜひ日傘を使って頂きたいなぁ」と思い、男性でも使える着物日傘を最初に作って販売したのは、2016年のことでした。
最初の写真も「男性が持ってもかっこいいのでは?」と密かに思って作った着物リメイク日傘「黎(れい)」です。
黒留袖を解き、デザインを考えながら裁断をして、さらに縫製で自由に組み合わせをして、時間をかけてこだわって、1本を作り上げまし た。
黒留袖は女性用の着物ではあるものの、黒と朱の組み合わせに力強さや潔さを感じ、和の新しい可能性を広げられるように「黎」と名付けました。
「黎」は「黎明」の黎のことで、夜明けや物事の始まりのこと。
力強く、人の色には染まらない。自我を持つ。
潔いほどの強い個性を放つこの日傘には、この名前しかないと思いました。
黒留袖は、黒が彩色をうまく締めて、クールな印象に見せてくれますので、着物をリメイクした日傘の素材として、男性の方にも比較的取 り入れて頂きやすい素材だと思います。
【「日傘は女性が持つもの」という既成概念はもう不要です!】

今でも日傘をお使いになるのは、圧倒的に女性が多いですが、私は男性にもこれから大いに日傘を活用して頂きたいと思っています。
夏の日差しが暑いのは、性別は関係ないですよね。
日傘をさすことで、熱中症予防にもなるし、紫外線対策にもなる。
ファッションアイテムとして、トータルコーディネイトに日傘を取り入れて頂くのも素敵!
「日傘は女性が持つもの」という既成概念は、もう不要なのです!
常識とか、既成概念とか、そんな次元を軽やかに超える、あなたらしい個性を表現できる素敵な日傘を持つ方が、もっともっとこの世の中に増えますように!
今日はここで、過去から現在、未来へと時間の経過と共に少しずつ変容してきた、日傘制作者である私と日傘男子との関わりについて、少しお話してみました。
また何かご質問やご意見等がございましたら、当ページの1番下にあるお問い合わせフォームよりどうぞお気軽にお寄せくださいね。
(この記事は、日本日傘男子協会理事兼日傘男子サポーター:柴田民緒が担当しました)